カエル・クリニック・デザイン カエル・クリニック・デザイン カエル・クリニック・デザイン

海外生活のお話 -イギリスの家のリアル-

伊藤 瑞穂

こんにちは。カエル・クリニック・デザイン(KCD)デザイナー/一級建築士の伊藤です。

前回のブログではイギリスのロンドンで仕事をしていた当時の経験のお話をご紹介いたしました。

【関連記事】スタッフブログ|海外生活のお話 -ロンドンでの仕事経験-

今回は前回の続きとして、イギリスの家の話をしたいと思います。

イギリスの住居用建物外観

 

意外と知らないイギリスの生活事情

海外旅行をしても一般的にはホテルに泊まる場合がほとんどです。
そのため、その国に住む人がどんな家でどう暮らしているか、リアルな生活事情については分からないことも多いと思います。

例えばアメリカの家だとドラマや映画などで目にする機会も比較的多く、なんとなく雰囲気の想像はできる場合もあるかもしれませんが、それでも実際のところ細部の謎は残るものと思います。
媒体越しに目にする機会がより少ない国であれば尚更ですね。

そこでイギリスの一般的な住環境事情について、家屋のポイントごとに私が感じた特徴的な部分をご紹介いたします。
皆様が密かに感じていらっしゃる家屋や生活にまつわる謎が解けるブログになることを願っております。

 

【玄関】

これは皆様ご存じだと思いますが、戸建てでもアパート(※)でも、日本のように靴を脱いで一段上がるような玄関ではありません。

(※)イギリスでは日本で言うマンションのことを「アパートメント」や「フラット」と呼びます。
アパートは木造2階建て的なイメージではなく立派な集合住宅なのです。
逆に「マンション」と言うとかなりの高級住宅を指します。

イギリスの家屋の玄関

大抵そのお家のお母さんが土足禁止にするか土足のままにするか決めるようですが、土足禁止であってもどこで靴を脱ぐのか範囲がはっきりしていないケースが多いです。
そのためなんとなく扉のそばで靴を脱ぐことになっていても、忘れ物を取りに戻ったりすると靴のまま部屋に取りに行ったりして、日本からするとびっくりの光景が繰り広げられることも。

ただ冷静に考えると、個人的には靴の裏をマットできれいにした状態で歩き回る方が、靴を脱いで靴下で歩くよりきれいな人も多いような気もしてきますね!

【キッチン】

次にキッチンで私が驚いたことが2つあります。

1つは洗濯機がキッチンにあること。シンクや食洗機の並びにドラム式の洗濯機が配置されている家が多いのです。

キッチンカウンターに収まる洗濯機

給排水機能をまとめている点で見ると非常に効率的!なのですが、日本の感覚的には最初は違和感がありました。

もう1つはキッチンの収納の仕方です。冷蔵庫はまた別の扉の中に、オーブンは壁面棚にきれいに収まっている家が多く見られます。

キッチン棚収納の外観

なお、キッチン用品でいえばドイツメーカーのシェアが多く、さすが精密なことが得意なイメージに違わないといったところでしょうか。
ロンドン内にも様々なドイツのキッチンメーカーのショールームが並んでいました。

【窓】

窓についてはイギリスだけではなく、個人的に感銘を受けたドイツでの事情も加えてお話いたします。

イギリスの家の窓は、新しい家では気密性の高い引違い窓(左右にスライドして開閉するタイプ)もありますが、古い家では上下スライド式が多いです。
また台形にせり出した出窓もよく見られるのが特徴的です。ただし、デメリットもあってそれなりにすきま風が入ってきます。

室内から見た出窓

一方でドイツの窓はすごいです…。180度近く回転出来てガラスの外側面も室内で掃除出来る上、ちょっとだけ開けたいときは窓上部が開くよう傾けられます。
雨の日も雨を中に入れずに換気出来るよう設計されているのです。

【お風呂】

お風呂についてはシャワールームだけを設けた家が多いですが、浴室がある家もあります。
ただしトイレ・洗面所・バスタブが1室にあっても内部の防水・排水が整ったユニットバスとは異なり、バスタブにお湯を入れた場合でもその中で体を洗います。
そのため必然的に1人ずつお湯を入れ替えるスタイルとなります。
バスタブの外で洗いたくても外に排水口がないのです。

イギリスの家屋のバスルーム①
イギリスの家屋のバスルーム②

バスタブの形状も浅く長くて、日本のお風呂がとても恋しくなりました。

【暖炉】

実は現在ロンドン市内での暖炉使用は大気汚染防止の観点から禁止されており、人々は暖炉をどうインテリアとして活用するか奮闘しているようです。
一般的には左右に棚を置き、暖炉の上部分はディスプレイ棚として好きなものを飾っています。
現地の方にとって暖炉は暖房として使わなくても家にあると和む重要なアイテムなのかもしれません。
(中には昔の名残であるだけで、外せるなら外したい方も多いかもしれませんが…。)

暖炉のある一室

 

他にも思い出すことはまだまだありますが、また次の機会に預けることとして今回はこのくらいといたします。
イギリスの生活事情の意外なリアルが垣間見えることで楽しんで頂けたなら幸いです。

デザイナー/一級建築士
伊藤 瑞穂