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クリニック設計から施工までの流れ

はじめに

クリニックの開業は、医師にとって長年の夢であり、地域医療への貢献という大きな目標の実現でもあります。しかし、その道のりは決して平坦ではありません。
特に、クリニックの設計・施工は、専門的な知識や経験が求められるため、多くの開業医にとって不安の種となることがあります。

本コラムでは、クリニックの設計から施工までの一般的な流れを分かりやすく解説いたします。
各段階でどのような検討が必要なのか、どのような専門家と連携すべきなのかを理解することで、スムーズなクリニック開業の一助となれば幸いです。

クリニック内装設計

1. 計画・準備段階

1.1. コンセプトの明確化

まず最初に、どのようなクリニックを目指すのか、そのコンセプトを明確にする必要があります。
診療科目、対象とする患者層、地域医療における役割、提供したい医療サービスなどを具体的に検討します。

この段階で、将来的な拡張性や、患者様のニーズの変化も考慮に入れることが重要です。
また、競合となる近隣の医療機関の状況を把握することも、独自の強みを持つクリニックづくりに繋がります。

1.2. 事業計画の策定

明確になったコンセプトに基づき、具体的な事業計画を策定します。
資金調達計画、収支計画、人員計画などを詳細に検討し、クリニックの持続可能性を高めます。

事業計画は、金融機関からの融資を受ける際にも重要な資料となります。
専門家(税理士、コンサルタントなど)のサポートを受けながら、実現可能性の高い計画を作成しましょう。

1.3. 候補地の選定

クリニックのコンセプトや事業計画に合致する候補地を選定します。
患者様のアクセス、視認性、周辺環境、競合施設の有無などを総合的に考慮する必要があります。

不動産業者や医療専門のコンサルタントからの情報収集も有効です。
候補地によっては、建築規制や用途地域などの法的な制約がある場合もあるため、事前にしっかりと確認しましょう。

1.4. 専門業者の選定

クリニックの設計・施工を依頼する専門業者を選定します。
設計事務所、施工会社、医療機器メーカーなど、それぞれの専門性を持つ複数の業者を比較検討することが重要です。

実績、得意分野、提案力、費用などを総合的に判断し、信頼できるパートナーを選びましょう。
複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

2. 設計段階

2.1. 基本設計

選定した設計事務所と共に、クリニックの基本設計を行います。
コンセプトや事業計画に基づき、ゾーニング(各部屋の配置)、動線計画(患者さん、スタッフの流れ)、概算の予算などを決定します。

この段階では、医師の要望をしっかりと伝え、設計士と密にコミュニケーションを取りながら、理想のクリニックのイメージを具体化していきます。
平面図、立面図、配置図などが作成されます。

2.2. 実施設計

基本設計に基づき、より詳細な実施設計を行います。内装、外装、設備(電気、給排水、空調など)、医療ガス設備、照明、家具、サイン計画など、施工に必要な全ての情報を盛り込んだ設計図書を作成します。
実施設計の内容は、工事費に直接影響するため、慎重な検討が必要です。医療機器の配置や配線なども、この段階で詳細に決定します。

2.3. 関係法規の確認・申請

設計図に基づき、建築基準法、消防法、医療法などの関係法規に適合しているかを確認し、必要な行政機関への申請手続きを行います。

これらの手続きは専門的な知識が必要となるため、設計事務所に代行してもらうのが一般的です。
申請が遅れると、工事スケジュールにも影響が出るため、早めの対応が重要です。

3. 施工段階

3.1. 施工業者の選定・契約

実施設計図に基づき、施工業者を選定します。設計事務所から推薦された業者や、複数の業者から見積もりを取り、比較検討します。
施工実績、技術力、費用、アフターサービスなどを総合的に判断し、信頼できる業者と工事請負契約を締結します。
契約内容をしっかりと確認することが重要です。

3.2. 着工・工事監理

工事請負契約締結後、いよいよ着工となります。工事期間中は、設計事務所が工事監理を行い、設計図通りに工事が進んでいるか、品質管理は適切に行われているかなどをチェックします。

医師も定期的に現場を訪れ、進捗状況を確認することをおすすめします。
気になる点や変更したい点があれば、早めに設計事務所や施工業者に伝えるようにしましょう。

3.3. 内装・設備工事

建物の躯体工事と並行して、内装工事や電気、給排水、空調などの設備工事が進められます。
医療機器の搬入・設置、医療ガス設備の設置などもこの段階で行われます。

内装の色や素材、照明器具の選定などは、患者様の印象を大きく左右するため、クリニックのコンセプトに合ったものを選びましょう。

3.4. 竣工・検査

工事が完了すると、設計事務所、施工業者、医師による竣工検査が行われます。設計図通りに仕上がっているか、不具合はないかなどを細かくチェックします。
検査で指摘された箇所は、手直し工事が行われます。手直し工事が完了した後、改めて最終確認を行います。

4. 開業準備段階

4.1. 医療機器・備品の搬入

竣工検査に合格した後、医療機器や家具、事務用品などの備品を搬入・設置します。
医療機器の動作確認やスタッフへの操作指導なども行います。

スムーズな診療開始のため、事前に配置計画を立て、効率的な搬入・設置を心がけましょう。

4.2. スタッフ採用・研修

診療に必要なスタッフ(看護師、受付、医療事務など)の採用と研修を行います。
クリニックの理念や診療方針を共有し、円滑なチームワークを築けるように準備します。

開業前に、ロールプレイングなどの実践的な研修を行うことで、開業後のスムーズな運営に繋がります。

4.3. 広報・集患活動

地域の住民や医療機関に向けて、クリニックの情報を発信し、集患活動を行います。
ホームページ、パンフレット、地域情報誌など、様々な媒体を活用します。

内覧会を開催し、地域の住民にクリニックの雰囲気や設備を知ってもらうことも有効な手段です。

4.4. 各種手続き

保健所への開設届、医療機関コードの取得、保険医療機関指定申請など、開業に必要な各種手続きを行います。
これらの手続きは煩雑なため、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

クリニック設計・施工

おわりに

クリニックの設計から施工、そして開業準備まで、多くの段階と様々な関係者との連携が必要となります。
本コラムが、これからクリニック開業を目指す医師の皆様にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

私たちカエル・クリニック・デザインは、豊富な経験と専門知識で、医師の皆様の理想とするクリニックづくりをサポートいたします。
設計段階から施工、開業準備まで、トータルでのサポートが可能です。お気軽にご相談ください。